医療費について
「遺伝子治療は超高額」というイメージがあるかもしれません。実際に、薬価が1億円を超える遺伝子治療が登場して注目を集めました。
遺伝子治療の開発には膨大な費用がかかることが高額な薬価につながっています。
しかし、国内で公的医療保険が適用された場合には、患者さんの負担は1~3割で、多くを健康保険組合などの公的保険機関が負担することになります。
また、決められた上限を超えた場合は、超えた分の医療費が支給される「高額療養費制度」の対象にもなります。
さらに、疾患によっては他の制度が利用できる場合があります。
※いずれも2025年4月現在の情報です。
高額療養費制度
遺伝子治療に限らず、1か月間に医療機関や薬局の窓口で支払った額が一定額を超えた場合に、超えた金額の払い戻しを受けられる制度です。自己負担の上限額は年齢や所得に応じて決まります。
申請の手続きは、年齢や所得、加入している医療保険(国民健康保険、共済組合など)などによって異なります。
また、診療を受けた月の翌月の1日から、2年間さかのぼって申請することが可能です。
厚生労働省. 高額療養費制度を利用される皆さまへ(https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf)より転載(2025年4月22日閲覧)
限度額適用認定証の利用について
医療費の支払いが高額になる場合、「限度額適用認定証」を医療機関や薬局の窓口に提示することで、自己負担上限額を超える分を窓口で支払う必要はなくなります。限度額適用認定証は、事前に加入する医療保険などに申請を行い、交付を受ける必要があります。限度額認定証の有効期限は、申請月の1日から最長で1年間です。
- マイナンバーカードを健康保険証として利用できる医療機関では、「限度額適用認定証」がなくても、限度額を超える支払いが免除されます。
(情報提供に係る同意が必要です) - 70歳以上の方は、所得区分によっては限度額適用認定証は不要となります。70~74歳の方は、健康保険証と「高齢受給者証」を、75歳以上の方は「後期高齢者医療被保険者証」を窓口に提示してください。
詳しくは、保険証に記載されている医療保険の窓口にお問い合わせください。
- 高額療養費制度の詳細は、厚生労働省ホームページ「高額療養費制度を利用される皆さまへ」をご覧ください。(2025年4月現在)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/
小児慢性特定疾病医療費助成制度
遺伝子治療をする疾患が小児慢性特定疾病で、18歳未満であれば助成の対象となります。
この制度では毎月の自己負担上限額が世帯所得に応じて設定されており、それ以上の医療費を負担することはありません。
(単位:円)
階層区分 | 年収の目安 (夫婦2人子1人世帯) |
自己負担上限額 (患者負担割合:2割、外来+入院) |
|||
---|---|---|---|---|---|
一般 | 重症(※) | 人工呼吸器等 装着者 |
|||
I | 生活保護等 | 0 | |||
II | 市町村民税 非課税 |
低所得I(〜約80万円) | 1,250 | ||
III | 低所得II(〜約200万円) | 2,500 | |||
IV | 一般所得I (〜市区町村民税 7.1万円未満、〜約430万円) |
5,000 | 2,500 | 500 | |
V | 一般所得II (〜市区町村民税 25.1万円未満、〜約850万円) |
10,000 | 5,000 | ||
VI | 上位所得 (市区町村民税 25.1万円〜、約850万円〜) |
15,000 | 10,000 | ||
入院時の食費 | 1/2自己負担 |
重症:➀高額な医療費が長期的に継続する者(医療費総額が5万円/月(例えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円/月)を超える月が年間6回以上ある場合)、➁現行の重症患者基準に適合するもの、のいずれかに該当。
小児慢性特定疾病医療費助成制度を
利用した場合(イメージ)
詳しくは、小児慢性特定疾病情報センターホームページをご覧ください。(2025年4月現在)
https://www.shouman.jp/assist/expenses
指定難病医療費助成制度
遺伝子治療をする疾患が指定難病の対象疾病で、症状が一定以上、または高額な医療費を支払っている場合に医療費が助成されます。
指定難病医療費助成制度の対象となった患者さんは、外来・入院の区別なく、指定医療機関での医療費の自己負担割合が3割から2割に軽減されます※。
また、毎月の自己負担上限額が世帯所得に応じて設定されており、それ以上の医療費を負担することはありません。
75歳以上の方など、申請前の自己負担割合が1割の方は、申請後も自己負担割合は1割のままです。
自己負担上限額階層区分 |
階級区分の基準 ( )内の数字は、夫婦2人世帯の場合における年収の目安 |
自己負担上限額(外来+入院) (患者負担割合:2割) |
|||
---|---|---|---|---|---|
一般 | 高額かつ長期※ | 人工呼吸器等装着者 | |||
生活保護 | ー | 0円 | 0円 | 0円 | |
低所得I | 市町村民税非課税(世帯) | 本人年収 ~80万円 | 2,500円 | 2,500円 | 1,000円 |
低所得II | 本人年収 80万円超~ | 5,000円 | 5,000円 | ||
一般所得I |
市町村民税 課税以上7.1万円未満 (約160万円~約370万円) |
1,000円 | 5,000円 | ||
一般所得II |
市町村民税 7.1万円以上25.1万円未満 (約370万円~約810万円) |
20,000円 | 10,000円 | ||
上位所得 |
市町村民税 25.1万円以上 (約810万円~) |
30,000円 | 20,000円 | ||
入院時の食費 | 全額自己負担 |
「高額かつ長期」とは、月ごとの医療費総額が5万円を超える月が年間6回以上ある者 (例えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円を超える月が年間6回以上)。
指定難病医療費助成制度を
利用した場合(イメージ)
詳しくは、難病情報センターホームページをご覧ください。(2025年4月現在)
https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460