遺伝子治療とは
遺伝子治療の歴史
遺伝子治療が製品として承認されるまでには、長年の研究の積み重ねがありました。
ここでは、遺伝子治療の歴史を簡単にご紹介します。
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1980年代
ウイルスベクター開発(最初に実用化されたのはレトロウイルスベクター)
遺伝子治療に関するガイドラインを設ける(米国) -
1990年
世界最初の遺伝子治療が行われる
(対象:アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症)(米国)
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その後、世界中で遺伝子治療研究が一斉に開始される1990年代に遺伝子治療の臨床試験の数は急激に増えたが、多くの試験は失敗に終わった
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1995年
日本最初の遺伝子治療が行われる
(対象:ADA欠損症)(北海道大学) -
1999年
アデノウイルスベクター※1大量投与による死亡事故(米国)
⬑アデノウイルス粒子に対する過剰な免疫反応が起きたと考えられた1999年
遺伝子治療で初めて、顕著な効果が報告された
(対象:X連鎖重症複合免疫不全症)(フランス) -
2002年~
この遺伝子治療を受けた患者が次々と白血病を発症
⬑レトロウイルスベクターの使用によってがん化すると考えられた成功と考えられた治療で有害事象が起こり、遺伝子治療への期待が急落
遺伝子治療の低迷期※2
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2009年
レンチウイルスベクターを使った遺伝子治療で有効性を確認
(対象:副腎白質ジストロフィー)(フランス)遺伝子治療、復活!(レトロウイルスベクターよりもがん化の可能性が低い
レンチウイルスベクターを使って安全性を改善) -
2011年
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた遺伝子治療の有効性を確認
(対象:血友病B)(英国、米国) -
2012年
欧州で初めての遺伝子治療用製品(AAVベクター使用)が承認
(対象:リポ蛋白リパーゼ欠損症)(安全性・有効性の問題ではなく、商業的理由等により、現在では販売を終了しました)欧州で治療用製品として初承認
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2015年~
欧米で立て続けに遺伝子治療用製品が承認
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2019年
日本で初めての遺伝子治療用製品が承認(CAR-T療法ほか)
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その後、日本で複数の遺伝子治療用製品が承認(遺伝子治療の対象疾患)日本でもついに治療用製品として初承認
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2023年~
ゲノム編集技術を用いた遺伝子治療用製品が承認(英国、米国)
(対象:鎌状赤血球症、βサラセミア)
- アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターとは異なる。AAVベクターが実用化される以前によく用いられていた。
- 2003年~2013年の間に、中国では2製品、フィリピン、ロシアおよびウクライナでは1製品の遺伝子治療用製品が承認された。