What is gene therapy

遺伝子治療とは

遺伝子治療とは
GENE THERAPY

「遺伝子治療」とは

遺伝子治療とは、治療用の正常な遺伝子を細胞に送り込み、必要なタンパク質を作らせることによって病気を治そう、という治療法です。

遺伝子治療はもともと、遺伝子変異が原因で起こる病気(遺伝性疾患の一部)を根本的に治す方法として開発が試みられました( 遺伝性疾患とは)。その後、医療技術が発展し、現在ではさまざまな病気への応用が模索されています。

そのため現在では、遺伝性疾患に限らず、治療用の遺伝子を患者さんの体内へ送り込んで行う治療の全般を、広く遺伝子治療と呼んでいます。 (遺伝子治療の種類

※ゲノム編集による遺伝子治療の場合は、ゲノム編集ツールを導入する。

遺伝子をからだの中に
入れる方法
は?

遺伝子治療ではまず、治療用の遺伝子を目的の場所(細胞)まで届け、そこで遺伝子を発現させる必要があります。
この運搬のことを「遺伝子導入」と呼びます。

遺伝子導入の方法には、治療用の遺伝子を直接患者さんの体内へ送り込む体内法(in vivo 遺伝子治療)と、細胞を介して遺伝子を組み入れる体外法(ex vivo 遺伝子治療)の2種類があります。

体内法 (in vivo) と体外法 (ex vivo) で治療用遺伝子を細胞に導入する流れを示す

※ゲノム編集による遺伝子治療の場合は、ゲノム編集ツールを導入する。
また、ベクターを使わずに導入する方法もある。

ベクターとは?

遺伝子は、そのままの状態では、実際にはたらく細胞の中まで到達することはなかなか難しいため、一般には遺伝子を運ぶ運搬体に組み込んで投与します。
この運搬体のことを「ベクター」と呼びます。

ベクターが治療用遺伝子を細胞へ運ぶ仕組みを示す模式図

ベクター(運搬体)
何でできているのか?

ベクターにはさまざまな種類があり、大きくはウイルスベクターと非ウイルスベクターに分けられます。

ウイルスベクターは、ウイルスが細胞に感染するメカニズムを利用したもので、遺伝子導入できる能力を持つウイルスを安全に改変して、治療用の遺伝子を組み込んだものです。導入したい遺伝子を搭載しやすく、効率よく導入でき、導入した後の遺伝子発現の確率が比較的高いことから、よく使われています。( ウイルスベクターを知る

ウイルスベクターには、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、レンチウイルスに由来するものなどがあり、それぞれの特徴によって使い分けられています。体内法では主に が使われ、体外法では主に が使われています。

非ウイルスベクターには、 などがあります。

POINT

遺伝性疾患の遺伝子治療では現在、
ベクターを用いて導入したい遺伝子を
細胞に送り込む方法

多く用いられている。

参考)

  • 小林 博司. 脳と発達. 2024; 56: 359-364
  • 望月 秀樹. 神経治療. 2023; 40: 201-204
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター. 研究開発の俯瞰報告書 ライフサイエンス・臨床医学分野(2024年). 2025年3月
    https://www.jst.go.jp/crds/pdf/2024/FR/CRDS-FY2024-FR-05.pdf